第175章

『了解、ボス』

ほどなくして、窓の外に廃工場の輪郭が浮かび上がった。鉄錆と鼻を刺す薬品臭が、ガラス越しでも伝わってくるようだ。

車は工場から500メートルほど離れた、目立たない物陰で停車した。

吉崎直子たちが降りるのと同時に、白坂たちが闇からすっと姿を現す。

『ボス、見張りは全員片づけました』

『工場内は入り組んでますが、主な連中は中央の主生産ラインに集中してます。あそこだけ明かりがつきっぱなしです』

報告を聞き、羽島浩介は短くうなずくと、視線を吉崎直子へ向けた。

直子は目を細め、少し先の巨大な車間を一瞥する。次いで、胸元の極小通信機に口を寄せた。

『K』

『います、ボス』...

ログインして続きを読む