第176章

その言葉を聞いた瞬間、吉崎直子の眉間に深い皺が刻まれた。瞳の奥は、不安でいっぱいだ。

『でも、あなた一人でここに残って……こんな人数、相手にできるの?』

『大丈夫だ。しかも白坂が警察と組んで、ここはもう完全に包囲されてる。先におばさんを連れて出ろ。東南の換気口だ』

『心配するな。俺は平気だ』

『でも……』直子は目を見開き、顔色を失った。

その声が届いたのか、さっきまで羽島浩介に集中していた連中が、こちらへ視線を向けてくる。

浩介は素早く足元の石ころを蹴り上げた。びゅっと跳ねた石が、男の額に直撃する。

「早く行け! おまえが出てくれないと、俺は落ち着いて戦えない!」

その怒号に...

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