第35章

吉崎直子は目を細めた。

自分を倒せる、だって?

……誰が、そんな自信を与えた。

どうやら彼女が表舞台から姿を消していた期間が長すぎたらしい。長すぎて、連中は忘れている。かつてS様に負けたあの試合、彼女は高熱で点滴を繋がれたまま、睡眠五時間でキーボードを叩いていたことを。

吉崎直子は真正面から受けて立つことにし、投稿の下に返信を打ち込んだ。

「公式サイトでエントリー済み。泣きながら『手加減して』って縋らないでね」

相手の誘い文句は、最初から吉崎直子を見下したものだった。

なら、こちらも同じ温度で返すだけだ。むしろ、もっと冷たく。もっと高い場所から。

コメントが投下された瞬間、火...

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