第36章

吉崎直子は、わずかに表情を強張らせた。

「だから言ったはずです。私は師匠と本当の師弟関係ってほどのものじゃありません。ただ、ハッキングの技術を少し教わっただけ。今どこにいるのかも知りませんし、むやみに生活を邪魔するつもりもありません」

「そんなに急いで断らなくてもいい」

羽島浩介は穏やかに言った。

「ただ――次に彼女と会う機会があるなら、伝言を頼みたい。羽島グループ情報セキュリティ部の扉は、いつでも彼女に開いている。月給は5,000万。お願いしたいのは一つだけだ。羽島グループの情報を守ってほしい」

吉崎直子は一瞬、固まった。聞き間違いかと思った。

月給5,000万?

ハッカー界...

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