第40章

林原寧月がオフィスの扉を開けて出ていくと、途端に別人みたいに表情が明るくなった。風でもまとったような顔つきで、手にはコーヒー。

そのままふらりと回り込み、吉崎直子のデスク前で足を止める。

「午後は特に予定、ないよね? ないなら時間きっちり、オフィスで待ってて。大物が来るから」

わざと含みを持たせ、吉崎直子の顔をじっと覗き込む。動揺でも引き出すつもりなのだろう。

けれど吉崎直子は終始淡いまま、手元の書類を閉じて、顔を上げた。

「林原部長、そんなにお暇なら営業部の過去の報告書、探して私にください。……ああ、どこに保管してあるかも知らないんでしたっけ」

林原寧月の顔が、露骨に曇る。

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