第54章

吉崎由紀は完全に取り乱していた。歯を食いしばり、吉崎直子を憎々しげに睨みつける。

「……あんた、責任取りたくないだけでしょ? いいわよ。じゃあ、もう賠償なんて求めない。昔は同じ吉崎家の人間だったってことで……今回はこれで手を打ってあげる」

そう言い捨てると、踵を返して立ち去ろうとした。

その瞬間、平村俊がスマホを掲げたまま、彼女の目の前にぐいっと突きつける。

薄笑いを浮かべて言った。

「おいおい、もう帰る気? こっちを冤罪扱いして、うちの工房の評判に泥塗っといて? そんな都合のいい話、あるわけないだろ」

周囲のデザイナーたちもわらわらと集まり、吉崎由紀を取り囲む。

「うちがすぐ...

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