第68章

林原玄也が呆然と立ち尽くし、なおかつ愕然とした目で見送る中、羽島浩介は吉崎直子の肩を抱いたまま、その場を後にした。

車に乗り込んでから、吉崎直子はようやく運転席の男へ顔を向ける。

「どうして来たの?」

「迎えに行くって約束しただろ。そりゃ来るさ」

羽島浩介は彼女の後ろにいた男へちらりと視線をやった。

「林原家の長男、林原玄也。あいつ、どうして君に絡んでた?」

吉崎直子は手首のピンクムーンラブを軽く揺らした。

「このブレスレットよ。これを欲しがって、私と取り合いになったの」

羽島浩介はアクセルを踏み込み、鼻で笑う。

「あいつごときに釣り合う代物じゃない。次からは、ああいうこと...

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