第74章

翌朝。吉崎直子はいつもどおり出社し、後部座席で今期の決算資料に目を通していた。

「直子さん、『Queenの正体』って話題だけで、閲覧数がもう20億超えっすよ! いやもう、とんでもないっすね!」

ハンドルを握りながら、平村俊がぺらぺらとしゃべり続ける。

「昨夜のうちに海外のブランドからも何件かコラボの打診が来てて、こっちでまとめておきました。あとでメールに送っときましょうか?」

「うん、いいよ。あとで見るから」

「そうだ、今月の売上報告書って、なんか見当たらなくないっすか?」

その一言で、平村俊ははっとしたように額をぺちんと叩いた。

「あっ、やば。俺、忘れてた……! 別の車に置き...

ログインして続きを読む