第80章

その言葉を聞いて、羽島浩介はしばらく沈黙した。

『……それで、どうするつもりだ?』

吉崎直子はわずかに伏し目がちになり、瞳の奥に計算の光を揺らす。

『あの人たちがやりたいのは、私が発作を起こしたって理由で大騒ぎして、好き放題に広めることだけ。だったら――望みどおりにしてあげる』

彼女の腹づもりを聞いても、羽島浩介はそれ以上言葉を挟まなかった。だがハンドルを握る手だけは緩まず、白く浮いた関節がそのまま固まっている。

どれほど走っただろう。ネオンを眺めていた直子が、ふいに口を開いた。

『そうだ、もう一つ』

『地下駐車場で手を出してきた連中、吉崎由紀と神崎晴子が手配した』

『……神...

ログインして続きを読む