第104章 彼の胸元

 獲物を狙う狩人に見据えられたような感覚に、葉山ゆうは頭皮まで強張り、じんと痺れた。

 どうしていいかわからず、彼の視線から逃げるように目を逸らす。白い小さな顔は、みるみる朱に染まっていった。

「わ、私……」

 そのはにかみと不安が、男の目にはたまらなく艶めいて映った。

 北条寒生は、彼女と出会うまでは欲の薄い男だった。

 たとえ女が自分の膝の上で踊ろうと、眉ひとつ動かさずにいられた。

 だが、彼女に出会ってからは……何もかもが、自分の思うようにはいかなくなった。

 両腕で彼女を閉じ込めるように抱き、身をかがめる。額へ、眉の骨へ、そっと口づけを落としていく。

「だ、だめです、...

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