第108章 俺のことが好き?

廊下は静まり返っていた。

松本特別補佐の大きな背中を追いながら、葉山ゆうの胸は落ち着かない。たぶん北条寒生の冷えきった空気のせいだ。彼のアシスタントたちまで一様に厳めしく、息が詰まる。

松本特別補佐がエレベーターのボタンを押す。

「あの……」葉山ゆうは頭をかき、さっき上月星に手を引かれた感触がまだ残っていて、そわそわした。「私と上月様は、ただの上下関係です」

松本特別補佐は「うん」とだけ返した。

「……」

これ、告げ口されるやつじゃない? 北条寒生って、ちっさいところ小うるさいし。知られたら手でも落とされかねない。右手はデザイン画を描くのに必要なんだけど。

とはいえ、「告げ口し...

ログインして続きを読む