第150章 59秒

別荘。

「葉山さん、どうしてこんな早くお戻りに……?」

柏本は彼女の様子があまりにおかしくて、胸騒ぎを抑えられなかった。

葉山ゆうは魂が抜けたみたいにふらふらと階段を上がっていく。まるで幽霊だ。

「若様が、スープをご用意するようにと。少しでも召し上がってくださいませんか」

「……食欲、ない」

柏本は後を追い、柔らかく、しかし引き下がらずに言う。

「若様は葉山さんのことをとても案じていらっしゃいます。お気持ち、無駄にしないでください」

葉山ゆうは片足を段にかけたところで、その言葉にぴたりと止まった。――それから、ゆっくり引き返す。

「それでこそです。いまはお一人じゃないんです...

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