第156章 天使と悪魔

 そのころ――

「市街地を出たのか?」

 加島敏は電話越しに問いただした。

「はい、加島お嬢様。C市のリゾート方面へ向かっているものと思われます」

 加島敏はすぐさま通話を切り、リゾートの佐藤社長に電話をかけた。

 その時間、佐藤社長はちょうど取引先に付き合って泥酔していた。顔を真っ赤にし、目を細めたまま、へらへらとした声を出す。

「おや、加島お嬢様?」

「お酒を飲んでるの?」加島敏は眉をひそめた。「今すぐ酔いを覚ましなさい。北条寒生がリゾートへ向かってるわ。じきに部下があなたのところへ行く」

「寒生様が……? あの寒生様が、私みたいな小物に何のご用で? まさか、ひと儲けの話...

ログインして続きを読む