第159章 入院

 黒いスーツに身を包んだ姿に、そこにいた女たちの胸は次々とかき乱される。あちこちで、ひゅっと息をのむ音が上がった。

 北条寒生もまた、黒のスーツ姿だった。すらりと伸びた体躯をいっそう際立たせ、広い肩、長く力強い脚がひときわ目を引く。

 けれど、その表情は冷え切っている。近寄るなとでも言うような空気をまとい、ただ見上げて憧れることしか許さない。近づくことなど、誰にもできなかった。

 葉山ゆうは顔を青くし、胸の鼓動を乱していた。

 彼は彼女の前を通り過ぎていく。なのに、まるで何千里も隔たっているみたいだった。あまりにも冷たく、あまりにも遠い。

 まるで――いや、本当に。

 最初から出...

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