第160章 食中毒

 病室の中。

 江口あんなは自分の弁当箱を開け、葉山ゆうはお粥の器を手にしたものの、むかむかして吐き気が込み上げてきた。何度か口をつけようとしても、どうしても喉を通らない。

 「どうしたの?」

 葉山ゆうは首を横に振った。

 「食欲なくて……お粥、飲みたくない」

 ここしばらく、ずっとお粥ばかりだった気がする。さすがにもう、見るだけで気が滅入る。

 けれど、一さじずつそれを食べさせてくれたあの人は、もうここにはいない。

 まるで空気みたいに、自然に彼女の暮らしに溶け込んでいた人だった。ほんの些細なことで思い出して、胸がどうしようもなく苦しくなる。

 「じゃあ……交換する? ほ...

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