第169章 気まずい

 葉山ゆうと葉山明は、まず安物のドレスを二着買った。

 葉山明は案外やり手だった。警備員の目をうまくかいくぐり、裏口から葉山ゆうを連れてパーティー会場へ紛れ込むことに成功したのだ。

 宴会場に入ってようやく、葉山ゆうは張りつめていた心を少しだけ緩めた。ほっと息をつき、呆れ半分、感心半分で葉山明を見る。

 「やるじゃない」

 「だろ? 俺を誰だと思ってるんだよ」

 葉山明は得意げに顎を上げ、それから視線を向こうへ走らせた。

 「林田さん、あそこ」

 葉山ゆうもそちらを見る。そして、ひと目で林田さんを見つけた。居並ぶ富豪たちの中でも、あの人だけは纏う空気がはっきり違っていたからだ。...

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