第192章 真夜中の部屋

周囲には野次馬根性丸出しの観光客が輪を作り、葉山ゆうを指さしては口々に言い立てていた。彼女がアンナを突き落としたに違いない、と。ゆうは弁解しようにも言葉が追いつかず、アンナだけが「警察呼ぶ!」と甲高く喚き続ける。

江口怜子がスマホを取り出したところで、風見清子がその手を押さえた。

「もういいでしょ。こんなことで、わざわざ大騒ぎにするわけ?」

職場経験の長い清子がいちばん嫌うのは、無能な人間よりも、こういう面倒を増やす女だった。

アンナは怒りで顔を真っ赤にする。

「私を願いの泉に突き落としたのよ!? 頭でも打ってたらどうするの。責任取れるの? それに私、泳げないんだから!」

「そう...

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