第195章 喧嘩

江口あんなの鼓動が、やけに速い。

けれどそれは、以前あの男に向けて胸が高鳴ったときのそれとはまるで違った。緊張――まるで自分が何か取り返しのつかない失敗をしたみたいに、どうしていいかわからない。

でも、私は何を間違えたんだろう。

「江口あんな」

檜山日真の声は冷え切っていた。身長高いの彼は、160センチにも届かないあんなを見下ろし、立っているだけで圧をかけてくる。

「……うん……」

あんなは喉の奥で震える声を漏らし、体の横に垂らした両手でスカートの裾をぎゅっと握りしめた。

「俺のこと、好きなんだろ」

「……うん」

「この前の夜、酒を自分から飲んだのはお前だよな」

「……う...

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