第209章 趣味なんです

晩餐会が、たった今お開きになった。

風見清子は赤いイブニングドレスに身を包み、少し酒を口にして頬を上気させている。車の窓にもたれ、気だるげに目を細めるその横顔には、普段の彼女にはない艶が滲んでいた。

体の奥底から、言いようのない疲労がどっとせり上がってくる。――息子のことを思い浮かべるときだけ、どうにか踏ん張れる気がした。

「リンリンリン……」

頭痛に響くような着信音が、やけに耳障りだ。

「風見清子、俺と石村さん、夜名クラブにいる。今すぐ来てくれ」

電話口の大智が、せかせかとした声で言う。

「今夜、石村さんとは約束してないでしょう?」

清子は眉間を指で押さえた。酔いが回りはじ...

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