第218章 ピンク・ハート

北条寒生は彼女に背を向けたまま、わずかに肩を震わせた。だがそれも一瞬で押し殺し、氷のような声で言い放つ。

「当然――堕ろす」

葉山ゆうの胸は、見えない両手で引き裂かれるみたいに痛んだ。今にも裂けてしまいそうで、息がうまく吸えない。

「命だよ……。あなた、あの子が生まれるのを、あんなに楽しみにしてたじゃない」

「それは昔の話だ。今はただの厄介事だろ」

寒生は顔をわずかに横へ向け、半分だけ彼女に見せる。その横顔は、ぞっとするほど冷たかった。

「それを抱えたままじゃ、次を探すのも難しい。違うか?」

「北条寒生……!」

ゆうの声が怒りに震える。こんなふうに侮辱されるのだけは、どうして...

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