第223章 関係を切り離す

バーの片隅。人目につかない静かな席だった。

「何を飲む?」

加島廷が腰を下ろす。横顔はどこか謎めいていて、やけに整っている。

「酒は飲まない」

加島廷の薄い笑みが、顔の上で数秒止まった。ゆっくりと目を上げ、彼女を値踏みするように眺める。長い睫毛の奥の瞳は底知れず深いのに、刃みたいに鋭くて、闇さえ貫きそうだった。

「この前は、飲めない感じじゃなかっただろ。俺に芝居してんのか」

「芝居じゃない。ただ、あなたと飲みたくないだけ」

風見清子は、あっさりと言い切った。

加島廷は唇を軽く結び、ウイスキーを頼む。グラスは二つ。

煙草を一本くわえ、火をつけた。ぱっと火種が灯り、浮かび上がる...

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