第305章 まとわりつく

葉山ゆうは問い詰められて、胸の中がぐちゃぐちゃになっていた。乱れた思考がひねり出せる答えはひとつ――逃げることだけ。

「放して、北条寒生」

力いっぱい手を引き抜く。

北条寒生は肩にまだ傷が残っていて、強く握り返せない。掌が空を切った瞬間、彼の唇から血の気が引いた。

「そんなことするなら、私、帰るから」

「治るまで世話をしたいだけ。そこが分からないなら、今すぐ出ていく」

葉山ゆうは自分を追い込み、わざと突き放すような声を作った。

「行かないで……もう言わない」

北条寒生が慌てて折れる。

焦れば焦るほど逆効果だ。時間なら、これから一生分ある。

「……ごめん」

北条寒生は頭を...

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