第306章 心を開く

「ん……」

葉山ゆうは北条寒生に押し倒され、ベッドに沈んだ。倒れ込む瞬間、彼は腕で体を支え、彼女を痛がらせないようにしている。

柔らかな枕に埋もれたゆうが真っ先に思ったのは、彼の傷が開いていないかということだった。

不安で大きく見開かれた瞳が、闇の中で彼を見上げる。状況が飲み込めないまま。

「怖がらなくていい。ただ、君を見たかっただけだ」

低く、掠れた優しい声が耳元に落ちる。暗闇だからこそ、妙に胸に響いた。

唇を離され、ゆうの鼓動が乱れる。慌てて訊いた。

「傷、開いてない?」

こんなときに心配するのは自分じゃなく、彼の体。寒生の胸がじんわり温まる。

「大丈夫だ」

それを聞...

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