第62章 彼に知られてはならない

「放して!」葉山ゆうが焦って手を引こうとする。だが秋山陽介は指をほどくどころか、骨が軋みそうなほど手首を締め上げてきた。

 痛みに耐えきれず、ゆうは声を張り上げる。

「放してよ、秋山陽介……痛いってば」

「痛い? ……へえ。じゃあ俺の心はどれだけ痛いと思う?」秋山陽介が怒鳴った。「おまえのせいで、毎晩ベロベロになるまで飲んでんだよ」

 ほかの女を探さなかったわけじゃない。けれど、どれだけ艶やかな女が目の前にいても、まるで興味が湧かない。裏切った女というのは、男の胸にいつまでも刺さったままになるものなのか。しかも相手は――自分の叔父。

 こんな屈辱、秋山陽介は生まれてこのかた味わった...

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