第64章 加島敏

翌日の昼。

北条グループのデザイン部で。

「何ぼんやりしてるの?一日中、魂が抜けたみたいじゃない」

ぽん、と頭を軽く叩かれて、葉山ゆうはようやく我に返った。気づけばデザイン部の同僚たちはみな昼食に出ていて、部屋には彼女ひとりしか残っていなかった。

「べ、別に、何も考えてません」

返事もどこか半拍ずれている。

「またまた。朝からずっと上の空だったでしょ。あなたらしくないわ。いつもはやる気に満ちてるのに」

ほかに誰もいないせいか、上月星は普段の厳しい仮面を外し、口元にやわらかな笑みをのぞかせていた。

「午後、林田青子さんに会うんでしょう?デザイン画の準備はできてる?」

葉山ゆう...

ログインして続きを読む