第76章 いくら欲しい

「お酒は飲めません」

 葉山ゆうは思わず部屋の中をちらりとうかがった。大柄な男がドアのそばに立ち、わざとジョージナの目に入るようにしている。彼女は慌てて背中越しに手を振り、あっちへ行ってと合図した。

 「ちょっとだけでいいの。大事なのは、あたしの隠れみのになってくれることなんだから。うん、あたしが社長といい感じに飲んだら、そのあとで帰ってくれていいし。でも社長、まだ帰ってなくて。どこ行ったんだろ」

 「たぶん付き合いでしょうね。そんなすぐには戻らないと思いますし、先に休んだほうがいいですよ」

 「まだ8時だよ? ぜんぜん早いって。12時までだって待てるし。とりあえず先に声かけとこうと...

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