第80章 いい子だ

「昨日の服のままだなんて、ずいぶん説得力があるな」

 北条寒生が気だるげに言った。

 葉山ゆうは足を止め、はっとする。――しまった。そのことをすっかり忘れていた。

「で、手伝ってくれるの、くれないの?」

「キスしてくれたら考える。でなきゃ、そのまま待ってろ」

 そう言って北条寒生はバスルームへ入っていった。

 ほどなくして、バスルームの奥からざあざあと水音が響いてくる。

 葉山ゆうは今すぐ中へ踏み込んで、あの男を思いきり殴ってやりたかった。

 何度ものぞき穴を確認したが、ジョージナはずっと廊下にいる。こっそり抜け出す隙など、どこにもなかった。

 そうしているうちにも時間は容...

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