第81章 結婚するなんて言ってない

葉山ゆうの脳裏に、朝の深いキスがふっとよぎった。途端に顔がこわばる。

「なに? ビビった? 冗談だってば」上月星が慌てて言った。

普段の彼の周りにいるのは、年上の色気のある女ばかりだ。こういう冗談を飛ばせば、向こうから身体を寄せて、甘いキスまでお返ししてくる。けれど葉山ゆうは、あまりにもまっすぐで無防備だ。本当なら、そんなことを言っていい相手じゃない。――なのに、その単純さが可愛くて、ついからかいたくなる。

「……別に」葉山ゆうは、北条寒生の憎たらしい顔を頭から追い出そうとした。

せっかく振り切ったんだ。自分から思い出して、わざわざ傷つく必要なんてない。

「よし。お詫びに博覧会、案...

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