第103章 彼は去っていなかった

窓の外で、また雨が降り出した。

雨粒がガラスを叩く音は、細かく、途切れない。

時間だけがじりじりと過ぎていく。

日向茜は広瀬伶に背を向けたまま、これ以上話す気がないのがはっきりしていた。

広瀬伶はしばらく言葉を飲み込み、結局、堪えきれずに口を開く。

「修一はさ、うまいこと言えるタイプじゃない。子どもの頃から、誰かに頭を下げたこともない」

「それでもお前を探すために、隣国の領空まで踏み込んだ。防空に落とされかけたって聞いてる」

「さっきもここに張り付いて……30時間以上、まともに寝てない」

日向茜は目を開け、窓に残る雨筋を見た。

「それで?」

広瀬伶は眉を寄せる。

「今す...

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