第17章 書斎の秘密

真田修一の手が、彼女の喉元の少し上で止まったまま、長いこと動かなかった。

切れて落ちた髪の束から視線を外し、もう一度、顔へ。

頬骨は記憶より高く、眼窩は落ち込み、唇には血の気がない。

真田修一は手を引っ込め、前席の通話ボタンを押した。

「車を本家へ戻せ」

それだけ言ってドアを開け、降りる。

マイバッハが離れていくのを、彼は無言で見送った。

その場にしばらく立ち尽くし、研究所の正門へ目を向ける。

階段の上に相澤永知がいた。白衣の裾が風にふわりと煽られている。

真田修一は歩み寄った。

「……あいつ、何の病気だ」

前置きもない。挨拶もない。切り込むだけ。

相澤永知はまぶたを...

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