第18章 いったい誰が卑しいのか

日向茜は、その場に貼りついたまま動けずにいた。目の前の男が、一歩、また一歩と距離を詰めてくるのを、ただ見ているしかない。

「どこへ行くつもりだ」

真田修一が彼女の前で足を止め、両手で頬を包み込んだ。

日向茜は顔を背け、触れられるのを避けようとする。

「逃げるな」

真田修一の指がきゅっと締まり、無理やりこちらへ向けさせる。

ウイスキーの匂い。

それに、彼にいつもまとわりつく、冷えた松の香り。

「欲しいものなら、全部やる」

真田修一が額を寄せてくる。額と額が触れた。

「……ここにいろ。俺がどれだけ最低なことをしてきたとしても……俺から離れるな」

日向茜の思考が、ふっと白くな...

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