第22章 私を絞め殺せばいい

「……遺影には触ってない」

日向茜は両手を広げて見せた。手の甲には、落ちたガラス片の細かな欠片がまだ貼りついている。

「自分で見れば? ヒビは内側から外へ弾けてる。私のせいじゃないでしょ」

真田修一は黙ったまま、危うい気配だけをまとっていた。

彼は墓碑の前へ進み、手にしていた白い薔薇の花束を供台へ置く。遺影に残る破片を指先でそっと払ってから、写真の中で笑う母の頬を、指の腹でなぞった。

「ここに何の用だ」

「花を供えに来た」

「誰に言われた」

日向茜は答えない。匿名のメッセージのことなど、口にできるはずがなかった。

真田修一が振り返る。風に松柏の枝がざわざわと鳴り、曇天の薄い...

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