第25章 いるべき場所へ戻れ

プラチナ苑を出て3ブロックほど走ったところで、寺内安はようやくアクセルを緩めた。

「ほんとに、あれ全部いらないつもり?」

日向茜は離婚届受理証明書と、添付されていた取り決めの書類をまとめてポケットへ押し戻す。

「株式と別荘は、ひとまず手をつけない。現金のほうは、お母さんのICU代に回す」

「じゃあ、あんたは?」寺内安がちらりと横目を寄こす。「何食べて、どこで寝るの」

「自分で何とかする」

次の瞬間、寺内安がハンドルを切った。路肩に急停車。シートベルトがぐっと食い込み、日向茜の身体が前へつんのめる。

「日向茜、あんた馬鹿なの?」

寺内安は勢いよく振り返った。胸が大きく上下し、言...

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