第29章 元夫さんが嫉妬した

個室の空気が、一瞬で抜け落ちた。

相澤永知から不意打ちのように告げられた想いに、日向茜はテーブルの下で指をぎゅっと握りしめる。

真田修一がどれほど狂っているか、彼女は痛いほど知っていた。こんな泥沼に、相澤永知まで巻き込むわけにはいかない。

「先輩」

日向茜は、無理やり話の流れを元へ戻そうとした。

「今日は工藤先生が場を設けてくださって、みんなで集まったのは課題の相談のためです。私も研究院に戻ったばかりですし、これからまた先輩方にはいろいろお世話になると思います。ですから、ほかの私的な話は……今はやめておきたいです」

だが、相澤永知は引かなかった。

まっすぐ彼女を見つめる目は、ひ...

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