第32章 もし私が本当に死んだら、あなたは悲しむ?

午後11時半。研究所。

三階で点いているのは、申し訳程度の夜灯だけ。

寺内安は廊下の突き当たり、窓際で発信中のスマホを握りしめていた。

受話口から返ってくるのは、いつも同じ機械音声。

「おかけになった電話は電源が入っていないため――」

半時間前、相澤永知が顔色最悪のまま研究所へ戻ってきた。寺内安がしつこく問い詰めて、ようやく事情を吐かせる。今夜の食事会に、真田修一まで顔を出したうえ、日向茜を人前で無理やり連れ去ったという。

焦りで胸が焼け、寺内安は廊下を行ったり来たりしながら何十回も電話をかけた。

それでも日向茜は――音沙汰なし。

そのとき、足音が不意に響いた。

ぱっ、ぱっ...

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