第38章 祝福されない者

日向沢宏が救急搬送され、すぐさま処置室へ押し込まれた。

扉がぴたりと閉まる。廊下に漂っていた鼻を刺すアルコールの匂いが、そこで断ち切られた。

林田希秋は扉の外で立ち止まり、風に乱れた髪を指先で整える。その所作は落ち着き払っていて、あまりにも自然だった。

くるりと身を翻し、三歩先にいる日向茜へ視線を落とす。

「茜」

親しげに呼び、笑みはちょうどいい温度に整えられている。

「久しぶりね。ずいぶん痩せたじゃない」

日向茜は動かない。

「林田さん。用件があるなら、はっきり言ってください」

林田希秋は焦らなかった。廊下の端の長椅子まで歩いて腰を下ろし、隣を軽く叩いて見せる。座れ、と。...

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