第44章 七つの枠

林田知代は真田修一の姿を認めた瞬間、二歩で彼の前まで詰め寄った。目の縁を赤く染め、声を震わせる。

「修一……あの人、さっき太郎のことを呪ったの……」

真田修一は鼻で冷たく笑い、その視線をまっすぐ寺内安へ落とした。

自分の息子を悪く言うことだけは、誰であろうと許さない。

寺内安は胸の奥がひやりとした。だが口では引かない。顎を上げ、真正面から睨み返す。

続けて言い返そうとした、その前に――

「もう一度言ってみろ」

真田修一が口を開いた。抑揚のない声だった。まるで秘書にコーヒーを一杯淹れろとでも命じるような、平板な調子。

なのに、廊下で待っていた連中は一斉に口をつぐんだ。

日向茜...

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