第51章 あんたは本当に彼の実の母親なのか?

小さなナイフが無垢のフローリングへ落ち、乾いた音を立てた。

林田知代はびくりと肩を跳ねさせる。さっきまで歪んでいた顔の筋肉が、一瞬で凍りついた恐怖へ変わった。

真田修一がどう現れたのか、彼女には見えていない。だが本能が、いちばん自分に得な動きを選ばせた。

「修一! やっと帰ってきたのね!」

林田知代は太郎に飛びつくようにして、子どもを胸へ抱え込み、ぎゅうっと締め上げた。

「日向茜が頭がおかしくなったのよ! 割れた陶器の欠片で私を殺そうとしたの! それに太郎を階段から突き落として! 私は太郎を守るために――!」

「正当防衛よ。怖くて、怖くて……修一!」

さっきまで日向茜の上にのし...

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