第59章 あなたがやる

日向茜は戸田己に軽く頷き、挨拶代わりにした。

戸田己は足元がおぼつかず、ドア枠にもたれかかって荒い息をついている。

「先輩……」

顔を上げた彼の瞳は、普段の澄んだ色を失い、赤い血走りで滲んでいた。額には玉のような汗がびっしり浮いている。

もう帰るつもりだった日向茜は、その場で足を止めた。

――様子がおかしい。

問いかけるより早く、戸田己がいきなり彼女の手首を掴み、脇の半開きになっていた休憩室へ引きずり込む。

ばたん、と扉が乱暴に閉まった。

不意を突かれた日向茜は、背中をドアに打ちつけた。そこへ戸田己がそのまま身体を預けるように迫り、彼女を丸ごと腕の中へ閉じ込める。

「熱い…...

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