第62章 太郎は誘拐された?

真田修一は車のドアを押し開けるなり、日向茜を乱暴に引きずり出した。手首を掴んだまま専用エレベーターへと押し込み、16階のボタンを叩く。

扉が開く。16階は小児心臓外科のVIP病棟だった。

真田修一は彼女を引っ張って廊下の突き当たりまで連れていき、病室のドアの前で足を止める。ガラスの覗き窓越しに中を確かめてから――

「見ろ」

手を放した。

日向茜は身にまとった大きすぎるスーツの上着をかき合わせ、彼の視線の先を追う。

病室の照明は落とされ、保育器のそばの小児ベッドで、太郎が青と白のストライプの病衣を着たまま、ぐっすり眠っていた。横のモニターには緑の波形が規則正しく上下している。

数...

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