第63章 窮地

驚きは、ほんの一瞬だった。

ヘリはすでにホバリングに入っている。スキッドは地面から50センチも離れていない。

「急げ!」

佐伯海が怒鳴り、身をかがめて大股で機内へ飛び乗った。

機首がわずかに沈み、ヘリはゆっくりと上昇を始める。

日向茜は反射的に駆け出した。どこから湧いたのか、自分でもわからない爆発的な力。機体が横に傾きながら浮き上がった、その瞬間に――跳んだ。

五本の指が、スキッドの金属の縁をがっちりと掴む。

「うわっ!」

機体の入口にいた佐伯海が目をむき、今にも眼球が飛び出しそうな勢いで叫ぶ。

「この女、イカれてんのか!」

高度がみるみる上がっていく。

十数メートル、...

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