第65章 追い出さないでくれないか

佐伯樹は三兄弟に小さくうなずいてみせると、その視線を彼らの肩越しに滑らせ、日向茜へ落とした。

日向茜は横向きに倒れていた。深い昏睡の中にあっても、両腕だけはきつく締まり、青い産着の包みを胸から腹へ抱え込むように守っている。太郎は腹が減ったのだろう、包みの中で、かすれた泣き声を途切れ途切れに漏らしていた。

佐伯樹は歩み寄り、片膝をつく。二本の指を日向茜の頸動脈へ当てた。

脈は弱い。しかも不規則で、頼りない跳ね方をしている。

続けてまぶたを開き、瞳孔を確かめる。対光反射は鈍い。

「兄貴!」

佐伯泉が堪えきれず一歩踏み出し、太郎を指さした。

「こいつが適合したドナーだ! 骨髄さえ抜け...

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