第70章 胃潰瘍がまた再発した?

冷えが日向茜の薄い衣服をすり抜け、骨の隙間にまで染み込んでくる。視界は大きな黒い影にぶつ切りにされ、耳の奥で鳴る「ぶうん」という耳鳴りが、制御卓のサーバーの駆動音さえ塗り潰した。

誰にも知られない地下の密室で死ぬ。

それは、別に悪くない。

少なくとも真田家の別荘で死ぬよりは。

今ある苦痛は純粋に肉体のものだけで、駆け引きも、侮辱もない。

どれほど時間が経ったのか。呼吸は浅くなり、日向茜は自分が死の縁に指先をかけたのを感じていた。

「ピッ——」

唐突に、電子ロック解除の音。

続いて、重い合金扉が左右へゆっくりと滑って開く。

日向茜は必死に眼球だけを動かした。佐伯泉が、連中を連...

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