第73章 騙された

真田修一は終始、平然としていた。病室に漂う一触即発の空気など、彼にはまるで効かない。

「寝ないでさ。お前を呼べって騒いでる」

いかにも当然だと言わんばかりの口ぶり。

日向茜「……」

彼女はベッドの背に身を預け、両手を掛け布団の上に置いたまま、子どもを受け取ろうともしない。

「人違いよ」

「それ、あなたと林田知代の子でしょう。私に面倒を見る義務はない」

真田修一は口の端をわずかに引き、ひとり掛けのソファを引き寄せて腰を下ろした。太郎を膝に乗せ、両手で幼い腰を支える。

その姿を見た瞬間、日向茜は頭が痛くなった。まさか、彼女が折れるまでここに居座る気じゃないだろうな。

「……何す...

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