第82章 瀕死の絶望

ネット記事の情報を頼りに、日向茜は木下姓の遺体が安置されている病院を突き止めた。

規制線の外では、警官が二人、霊安室の扉を守っている。

「どなたにご用ですか?」右側の警官が手を上げて制し、警戒した目を向けた。

「今日の昼、市中心部の事故で運ばれた方……木下玲さん、ですか?」日向茜はわざと焦った声を作り、矢継ぎ早に訊く。

警官は彼女を上から下まで値踏みするように見て、少し迷った末に口を開いた。

「木下玲です。ご家族の方ですか。身分証を持って中で確認してください。現場がひどくて、顔面の損傷も大きい。覚悟はしておいたほうがいい」

それで十分だった。

「……人違いでした」

日向茜は踵...

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