第87章 戸田己と再会

真田修一は手を上げて、彼の言葉を遮った。

「いい」

杉山遠は固まった。聞き間違いかと思う。

「……真田社長?」

「ここにいさせろ」

真田修一はグラスを取り、あおるように飲み干した。強い酒が喉を焼き、胸の奥まで熱が落ちていく。

「人を二人つけろ。目立たないようにな」

「無事なら、それでいい。余計なことはするな」

杉山遠は口を開きかけ、結局、疑問を飲み込んだ。

「……承知しました」

真田修一は、がらんとした部屋を見つめた。

放すのは、彼女のためでもあるが――自分を止めるためでもある。ここしばらくの狂気を、いったん切って、頭を冷やさなければならない。

ただし、視界の外へは出...

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