第88章 自分から行く、それとも気絶させる?

若々しくて生気に満ちたその顔を見ても、日向茜はすぐには思い出せなかった。林田知代の誕生日パーティーで、たった一度顔を合わせただけだ。

「……私のこと、覚えてる?」

戸田己がにっと笑い、整った白い歯を見せる。

「もちろん覚えてます。先輩、綺麗で優しいじゃないですか。忘れるわけないです」

日向茜は小さく笑い、何気なく尋ねた。

「どこ行くの?」

「寮です。先輩は? 方向一緒なら、途中まで一緒に行きません?」

戸田己が前方を指さす。

日向茜は断らなかった。

まともな人間と会話するのが、あまりにも久しぶりだった。

二人は古い街並みの並木道を並んで歩く。地面には金色の落ち葉が敷き詰め...

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