第96章 生まれ変わる

環亜医療センター、集中治療区。

廊下の惨白な照明がテラゾーの床に落ち、冷たい光が伸びていた。真田修一は壁にもたれたまま動かない。左手の甲から滲んだ血はとっくにガーゼを染み抜き、指先からぽた、ぽた、と床へ落ちていく。

「心臓は見つかったのか」

救命処置室の扉に灯る赤いランプだけを、真田修一は睨みつけていた。

杉山遠は二歩ほど離れた場所で、胃の奥を握り潰されるような気分のまま頭を下げる。

そんな都合よく適合する心臓が転がっているはずがない。特定の遺伝子パラメータに合致するものなど、海で針を探すようなものだ。見つけようと思って見つかる類じゃない。

だが、この場の凍りつくような圧に逆らえ...

ログインして続きを読む