第99章 逃げられないぞ

杉山遠は感情を整えるように一度息を呑み、唾を飲み込んだ。視界の端には、壁際に縮こまりがたがた震える受付が映る。声を落として促した。

「ぼさっとするな。先に出ろ。ドアも閉めて」

受付は腰を抜かしたみたいに、壁際から動けない。

杉山遠は風の吹き込む場所に立つ真田修一を一瞥し、さらに語気を柔らげた。

「聞こえたか。もうお前の出番じゃない。早く出ろ」

ようやく受付は鈍くうなずき、壁に手をついて立ち上がろうとする。

「足元、ガラスだ。気をつけろ」杉山遠がもう一度だけ言った。

受付は赦されたように顔を歪め、脚がもつれて転びかけながらも、よろよろとオフィスから逃げ出した。

室内に残ったのは...

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