第1章

川崎刑務所の鉄格子が、午前六時半きっかりに軋みながら開いた。そして私は、彼らが自由と呼ぶ場所へと足を踏み出した。

三月の朝は残酷だった。冬がまだ万物に爪を立てているというのに、春が来たふりをしている。霧が、まるで未練がましくまとわりつく亡霊のように、有刺鉄線に絡みついていた。

八年前に持ち込んだのと同じ帆布のバッグを、引きずって歩く。

私の所有物はすべてその中に収まっていた。数着の着古した服と、最悪の夜を生き延びる支えとなった、一枚の黄ばんだ紙切れだけ。

太陽の光が、平手打ちのように顔を打った。八年間、蛍光灯とコンクリートの壁に囲まれてきた身には、世界はあまりに眩しく、あまりに現実的すぎた。

自由?

私は前方の駐車場に目を細めながら思った。こんなもの、自由じゃない。ここからが、私の本当の刑務所暮らしの始まりなのだ。

それでも記憶は蘇る――いつものことだ。十九歳で、真実が重要だと信じられるほど愚かだった、最初の日。

裁判官が判決を読み上げる声。放火と過失致死で懲役八年。その三ヶ月後に隣人から届いた手紙。『ご両親は、もう世間の目に耐えられなくなったそうです』

他人の嘘の方が綺麗なら、世界は自分の真実など気にも留めない。それを学んだ八年間だった。

光にまだ目が慣れないでいると、エンジンの唸りが聞こえた。一台の赤い外車――ピカピカに洗車されて、メッキ部分が光っている――が、我が物顔で駐車場に入ってきた。彼が降りてくるのを見るより先に、胃がずしりと落ちた。

森本翔。相変わらずブランド物でビシッと決め、高級時計をつければステータスが上がると思っている。その姿を見ただけで、私は拳を握りしめていた。弱みを見せれば痛い目に遭う、刑務所での数え切れない喧嘩で身についた、筋肉の記憶だ。

彼はまるでラブコメの王子様気取りで九十九本の赤い薔薇を抱えて歩み寄り、私は笑いたくなった。あるいは叫びたかったか。たぶん、その両方だ。

「梨沙!」彼はひび割れた道路の上にいきなり片膝をつき、指輪の箱を取り出した。まるでここが、八年前に私の人生が公式に終わった駐車場ではなく、おとぎ話の舞台でもあるかのように。

「この瞬間を八年間、待っていたんだ!」と彼は言った。

ダイヤモンドが朝の光を捉える――おそらく、二カラットはあるだろう。

彼は続けた。「梨沙、計画はすべて立ててある。結婚式は桜島神社で、ハネムーンは南国の旅を予約した!やり直せるんだ!」

私は彼を見つめた。かつて陪審員に私が有罪だと信じ込ませた、あの甘いマスク。私が火を点けるのを見たと偽証したときに見せた、あの真摯な表情。私に触れ、私を愛し、そして瞬きもせずに私を破壊した、あの手。

「森本翔」私の声は、平坦で冷たく響いた。「8年という時間が経てば、人が犯した罪の痕跡は消えると思う?」

彼の表情が揺らいだ。

その時、ポルシェ・カイエンが滑り込んできた。

安部莉緒は、たちの悪いタイミングのセンスをしている。彼女は流れるような黒い髪に、白いシャネルのスーツをまとい、まるでレッドカーペットを歩くかのように車から降りてきた。

彼女は、成功した起業家、自力で成り上がった女性、世の若い女の子たちの憧れの的、そのものに見えた。笑わせる。

「梨沙!」安部莉緒は両腕を広げて駆け寄ってくる。後ずさりしたい衝動を、必死で抑えなければならなかった。私の手を掴んだ彼女の手は柔らかく、手入れの行き届いた爪は完璧だった。

手首のカルティエのブレスレットは、私の両親の葬式代をまかなえただろう。指にはめられた結婚指輪――森本翔の指輪――が、私の喉を締め付けた。

「刑務所での生活、大変だったでしょう」偽りの気遣いをにじませた声で彼女は言った。「心配しないで。翔と私が面倒を見てあげるから」

面倒を見てあげる。まるで道端で拾った野良犬にでも言うように。

その時、彼女はよろめいた。地面に向かって倒れ込み、転ぶ際に私に掴みかかる、完璧で、芝居がかったよろめき方。それが来るのはわかっていた――安部莉緒の小芝居については、考える時間が八年もあったのだから――だが、避けるには疲れすぎていた。

「きゃっ!」彼女は、集まってきたまばらな野次馬たちにも聞こえるほど大きな声で叫んだ。「梨沙、どうして私を押すの?」

森本翔は一瞬で彼女のそばに駆け寄り、助け起こしながら、私を見て顔を険しくした。「八年も刑務所にいると、こんなに暴力的になるのか?莉緒は体調が悪いんだぞ。立っているのもやっとなのに、お前は彼女を押すのか?」

昔の佐藤梨沙なら、謝っていたことだろう。しどろもどろに言い訳をして、信じてほしいと懇願したはずだ。だが、その少女は有罪判決と両親の遺書の間のどこかで死んだ。

私は森本翔の足元に散らばった薔薇と、安部莉緒の嘘泣きと、このドラマに夢中になっている観客たちを見た。それから、一本、また一本と、薔薇を拾い始めた。

そして、それを引き裂いた。

花びらを一枚一枚、完璧な赤い薔薇をずたずたに引き裂き、その破片を血の雫のようにコンクリートに落としていく。森本翔は口をあんぐりと開けていた。安部莉緒の演技も揺らいでいる。

「梨沙、お前、何を――」

私はダイヤモンドの指輪を落とし、踵で力いっぱい踏みつけた。パキッという音が、駐車場に響き渡った。

「よく聞いて、森本翔」私の声は極めて冷静だった。「あなたを愛していた佐藤梨沙は、八年前に刑務所で死んだ。今あなたの前に立っているのはただ復讐のためだけに戻ってきた女よ」

森本翔が叫んだ。「佐藤梨沙、そんなことできるはずがない!俺はお前を八年も待ったんだぞ!」

私は二人には目もくれず、携帯を取り出してタクシーを呼んだ。「じゃあ、待ち続ければいいわ。でも約束する。この物語の結末は、あなたの気に入るものにはならないから」

タクシーは思ったより早く着いた。後部座席に滑り込みながら、私は八年間持ち歩いてきたあの黄ばんだ紙切れを取り出した――佐藤梨沙と三浦光との間の、結婚契約書。

「どちらまで?」運転手がバックミラーで私をちらりと見て尋ねた。

「三浦邸まで」と私は言った。

彼の眉が跳ね上がる。「三浦邸というと……あの三浦さんのお屋敷ですか?お客様、あそこの若旦那はもう五年も昏睡状態ですよ」

バックウィンドウ越しに、森本翔と安部莉緒がどんどん小さくなっていくのが見えた。

私は微笑んだ。「ええ、知っています」

タクシーは、完璧に手入れされた砂利の私道を半マイルほど進み、手入れの行き届いた薔薇園を通り過ぎた。

私の未来の夫に、会いに行く時間だった。

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